アニメ「チャングムの夢」で腑に落ちないところがあった。
それは先々週くらいの話なのだが、いまだに納得がいかないので書く。
ありがたいお経を求めて天竺目指して旅をしているチャングム一行は宿をとるため、とある村へ立ち寄る。
その村には大陸
旅館という大きな宿があったが、空き部屋が一部屋しかなかったために上司だけがそこに泊まり、チャングムたちはまだ
子供の姉と弟が経営する廃れた旅館に
泊まることになる。宿が廃れた理由は大陸旅館の嫌がらせと知ったチャングムは、ミスター味っ子の読みすぎが祟って「大陸旅館と料理対決して宿の潰しあいをしよーぜ」と口を挟む。その夜、チャングムたちの荷物の一部が何者かによって盗まれるが、犯
人探しをする暇もなく話は進み、陸旅館と姉弟の料理対決が実現。それぞれが料理を作り、村人たちが審査員となり票を投じてもらい勝敗を決した。
死力を尽くしたものの、なんと姉弟は負けしまう。安易な提案をしてしまったせいでとチャングムは自分を責めるが、何も解決できぬまま、旅路を急ぐため船に乗り込むチャングム一行。船が陸を離れた時、姉弟が笑顔で見送りに駆けつけた。
大陸旅館が料理に麻薬を混ぜていたことが発覚し、相手の不正により姉弟は逆転勝利したのだ。大陸旅館が繁盛していたのも、麻薬で村人を中毒者にしていたからだった。
勝利報告に心が晴れるチャングム。
弟が船に向かって袋を投げ込んだ。なんとそれは盗まれた荷物。姉弟の笑顔に見送られチャングム一行はガンダーラを目指すのだった。
これがその話のあらすじ。荷物が盗まれるのと大陸旅館の嫌がらせだと知る順序がどうだったか忘れてしまったが、すじに影響がないように嵌め込んでおいた。
最後泥棒が判明したところで驚いた。大陸旅館が姉弟の評判を落とすために盗みに入ったのだと思っていたのだ。弟はひねた乱暴者タイプで確かに怪しかったが、普通、それを姉に咎められ「だってこうしなきゃ生活出来ないじゃないか!」バシッ!「恥を知りなさい!」みたいな場面があるか、「姉ちゃん、盗ってきたぜ」「チャングムさんたち、ごめんなさい。私たちにはこうするしか……」みたいな場面あるじゃん。日本では。
荷物を返して「ごめんなさい」とか、そういうの一切なし。
盗みには言及せず笑顔で荷物返していい場面として話終わっちゃうの。
日本の作品でも多くの日本人がなんだそれと思ってしまうものがある。韓国人はこの話をどう感じるのだろうか。
国や時代によって倫理観は異なる。
中国には日本語でいう「嘘」にあたる概念はなく、ちかいものとしては詭弁にあたるものならあるという。
ブラジルでは約束というものは守れたら守るというか、社交辞令というか、強い拘束力を持った言葉ではない。約束を言葉どおりに実行すると、かえって相手を怒らせてしまうこともあるらしい。
論語にある躬の話は正直とはどういうことかを説いたものだ。
ある人がこう言った。「孔子様、私の村には躬という正直者がいます。父親が女子小学生の上履きを盗んで鼻にあてがいながら『りかちゃん、りかちゃん』と呟いていたことを告発したのです」孔子はこういった。「私の村ではそのような者を正直者とはいいません。父は子を庇い、子は父を庇う。正直とはそういう中にあるものです」
記憶を頼りに書いたので少し違っているかもしれないが、大筋は外していないと思う。
気持ちは分からんでもないが(上履きを盗んだことじゃないよ)、身内の不正を隠すことが正直という徳につながるというのは、日本人にとって少し受け入れがたいものである。
このように、倫理観とは時代や場所やイデオロギーで異なる。
だから、勝負に勝ったし荷物が返ってきてヨカッタネ!という結末ももしかしたら
韓国では違和感のないものかもしれず、韓国内ならそれでいいけれども、外でその倫理観を発揮されたら困るなと思った。
posted by ヨシノブ at 01:07|
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