2017年03月07日

今週の覆面バイカー


夜の住宅街にリーンリーンと虫の声。
こんな場所でも草むらのどこかに風流な虫が潜んでいるのか。
しかし・・・・・・。

ガサガサガサ!
草むらから姿を現したのは巨躯のゴリラ。
「よし、今夜も翅の調子はいいようだ。次は最大音量だ!」

リィィィィィン!! リィィィィィン!!
破壊的な高音が大気を震わせる。
その震源はゴリラの背中、高速で擦りあわされる二枚の翅。
このゴリラこそ悪の組織ディラスターが開発した怪人スズムシゴリラに他ならぬ!

スズムシの体長が2.5cmほど。この怪人ゴリラは身長250cm。
これだけでも普通のスズムシの100倍の音が出せようものだが、更にスズムシとは桁違いなゴリラの筋肉が翅を動かすのだから、その音量といったら1000倍ぐらい出ているのではないだろうか。もっとかな。出ていてもおかしくないと思います。


人々が寝静まる夜中に騒音を発することで人々を日本から追い出し、無人となった日本をディラスター帝国が占領する。これがスズムシゴリラに課された策謀である。もう3日くらい、町のあちこちでこんなことをやっている。10年かけて日本の主要都市とその近辺をすべてまわる予定だ。

リィィィィィン!! リィィィィン!!
「うるせー!!!! 何時だと思ってるんだー!!!!」
スズムシゴリラの翅の音を吹き飛ばすような突然の怒声に、実際、翅の音は止まった。え? こんな夜中に誰? って、びっくりして。
振り向けばそこには覆面バイカーが寝巻き姿にスリッパにバットという出で立ちで、怒っていた。
「あっ、覆面バイカーだ。俺はディラスター帝国のスズ」
「うるさいのは、その翅かー!!」
自己紹介を聴く耳も持たず、バイカーはバットで怪人を殴り倒し、翅を毟り取って帰っていった。



翅がなければ、でかいだけのゴリラである。
もうリーンリーンと鳴くことはなくなり、毎日メソメソ泣くようになった。



帝国には帰れず、動物園の世話になるのも性に合わない。
翅の無い今、スズムシゴリラと名乗ることも出来ない。
しょんぼりして力なく公園のアスレチック遊具に入り浸る毎日を見かねて、近所の子供たちがスズムシの翅をデザインしたマントを作ってくれた。
そのマントを羽織って、ゴリラは泣いた。
その涙に、先ほどまでの涙には無い温かさが、心から溢れ出す温かさがあるのを、スズムシゴリラは感じていた。


posted by ヨシノブ at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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