2006年06月22日

明治日本見聞録 英国家庭教師婦人の回想

明治日本見聞録 英国家庭教師婦人の回想  エセル・ハワード  島津久大 訳  講談社学術文庫

ドイツの王子の教育を勤めた英国婦人が島津の殿様の子孫の家庭教師を頼まれ、明治三十四年に来日。
なんかすげーよ、島津の家庭環境。本物の上流階級ってこういうものなのかと。すごい金持ちってことじゃなくて、子供ながらに階級相応の意識を持っていたり、その周辺に高名な人たちが出てきたり。こういう環境なのは、ただちょっと前まで殿様やってた家だからというだけではなくて、旧薩摩藩が明治政府で力持ってたからというのが大きいのかな。

日露戦争中の話で、ハワードらの住む家の前を戦死者の葬列が毎日のように通ったという話が出てくる。このとき、ショパンの葬送行進曲が名がされたという。戦時中のイメージって、軍隊のなかは国粋主義民族主義バリバリな感じがしてたから、戦死者を弔うのも漢語調の軍歌が流れてそうなイメージがあったので、異国の曲で送ったというのは知識のない私には驚きだった。

ハワード婦人が旅行に行き、寺に宿泊した時のこと。

風呂場へ行く途中で、大勢の漁師に出会ったが、彼らは遠くの漁村からこの寺へ供物を持ってきたのだった。私の故郷の漁師にも同じことだが、彼らは他の世界のことは何一つ見たり聞いたりしたことがなかったので、外国人の観光客を見て大変な興奮が巻き起こされた。「外国の魔物」が風呂に入るところだと聞いて、彼らの興奮は一段と高まり、風呂場の回りに群がって破目板の覗き穴から一所懸命中を覗こうとしていた。

この助平どもが、と思ったら、覗いた理由はこうだった。

案内人が彼女たちに後で教えてくれたのだが、この素朴な人たちは、外国人には長い尻尾が生えていると固く信じていてなんとかしてそれを自分の目で確かめようとしたのである。

もちろん幾ばくかの助平はあったと思うけど、えらい認識だ。でもこれ本当なのかな。冗談でそう教えたのか、日本の名誉を守るために嘘をついたのかもしれないとも思える。
ふと思い出したが、第二次世界大戦中、日本のある山奥の村で「鬼畜米英が来る」という情報が流れたものの、誰も鬼畜米英の意味がわからずに、家畜の畜の字が入っているのだから鬼みたいにこわい牛みたいな獣じゃないかという答えに至ったことがあったらしい。外国人尻尾説、ありえぬでもないか。
南方熊楠の本に載っていた話で、いつの頃の話なの失念したが、佐渡だか因島だがどっかの島に80歳を超える老婆がいて、この婆さんが死ぬにあたって唯一心残りとしていることが「一度、馬というものを見てみたい」ということなんだそうだ。離れ島に住んでて、今ほど情報が手に入らない時代だから馬がわからないんだよ。この話は日本にはいつごろから馬がいたのかという話の流れで出てきたエピソードなんだけど、こういう話を思いだすと、外人の尻に尻尾信仰もさもありなんという気になる。
この婆さんに実際に馬見せたらがっかりすると思うよ。
限られたあやふやな情報で、婆さんのイメージしてる馬ってかなり現実離れしているはず。
まず、足が速いという情報は入っていると思われる。でも、かなりいい加減な情報になっていて、新幹線より速いと思ってそう。目の前で走らせたら、えー、こんなもんかよ、って文句を言う。でも馬はチンポがでかいから、それを見れば眼福だと思って速やかに成仏すると思う。ショパンの葬送行進曲で送り出してあげよう。
posted by ヨシノブ at 00:16| Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by 山田 at 2014年12月17日 18:17
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