2010年08月23日

夫子曰く

wikipediaの水木しげる記事を読んでいると、こう書いてあった。

作家の京極夏彦曰く、『水木作品の中の最高傑作は水木しげる』と、その人柄そのものを褒め称えている(TOKYO FM『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』2010年7月3日放送分より)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9C%A8%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B

どのような放送だったのかは知らない。京極が水木をこんなオリジナルフレーズで評したかのように読める。しかし、私は別人の言としてこの表現を知っている。


 水木しげる80の秘密

発行年月:2002年07月

漫画家水木しげる御歳80歳。ボケを自認しながら今なお見る人すべてを魅了するその秘密を、荒俣宏氏や京極夏彦氏をはじめ、つながりの深い人々に様々な視点で語ってもらう画業50年記念愛蔵版。未発表作品も収録。

【目次】(「BOOK」データベースより)
未完・未発表描き下ろし作品―三味線の皮/「大先生」水木しげるの傘寿を祝す/水木しげる幻想譚シリーズメモ―水木しげる劇場を紙上で構想する/地獄に行かぬ鬼太郎―鬼太郎サーガの巧緻な構造を探ってみる/前代未聞の珍放送―水木先生のTV名場面を観る/水木しげるの大々冒険―冒険家・水木しげると仰天の旅をする/水木漫画御馳走帖―水木漫画を美味しく(?)読む/世界妖怪協会と『怪』―いかにして世界妖怪協会は誕生したか/「水木話」総集篇―水木しげるの最高傑作は「水木しげる」である/水木漫画の擬音語―水木漫画は「バオーン」にはじまる/水木夫人インタビュー―夫・水木しげるの思い出を語る

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
水木しげる(ミズキシゲル)
冒険家、妖怪研究家、漫画家

荒俣宏(アラマタヒロシ)
作家、博物学者

佐野史郎(サノシロウ)
俳優、作家

京極夏彦(キョウゴクナツヒコ)
作家、デザイナー

南伸坊(ミナミシンボウ)
イラストレーター、装丁家

大泉実成(オオイズミミツナリ)
ノンフィクション作家

南條竹則(ナンジョウタケノリ)
作家

多田克己(タダカツミ)
妖怪研究家

呉智英(クレトモフサ)
評論家

村上健司(ムラカミケンジ)
伝説・妖怪愛好家、ライター

武良布枝(ムラヌノエ)
水木しげる夫人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



http://books.rakuten.co.jp/rb/%E6%B0%B4%E6%9C%A8%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B80%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86-%E6%B0%B4%E6%9C%A8%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B-9784048837637/item/1470150/


私はこの本を読んでいないが、呉の文庫本「犬儒派だもの」(2006年発行)に『水木しげるの最高傑作としての「水木しげる」』という見出しで再録されているものを読んだ。その小見出しには『十年早い水木話の総集篇』とある。見出し以外で最高傑作云々という表現が出てくるのは結末部分だけだ。

(大いに「天然」なところがある水木だが、意識してそういう言動をしている部分もあることに呉は作品から気付く)
考えてみれば、当然だろう。天然だけで作品が作れるわけがない。風刺作品のみならず妖怪作品にも見られるユーモラスな表現は、水木しげるが睡眠時間を削り、苦しみながら呻きながら、必死で生み出したものだ。
しかし、ひょっとしたら、水木しげるの最高傑作は、何の作為もなく天然のまま形作られた水木しげるその人であるかもしれない。


ここを読むに、最高傑作云々の言い回しは既存の表現ではなく、呉が発明したかのように受け取れる。『80の秘密』には京極も参加している。京極が呉の文章を読んで言い回しを気に入ってラジオでも使った、ということではないだろうか。(断言はしない)
呉も使っているのに、京極だけの言としてwikipediaに載る。
知名度の差か。哀しいなあ。



追記 11/01/12


11/01/12現在、wikipediaでの記載はこうなっています。

評論家の呉智英は、水木論『水木しげるの最高傑作は、水木しげるである』において「ひょっとしたら、水木しげるの最高傑作は水木しげるかもしれない」と賞賛(『犬儒派だもの』所収)し、作家の京極夏彦もラジオ番組(TOKYO FM『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』2010年7月3日放送分より)で同様の発言をしている。

posted by ヨシノブ at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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