映画感想
仮面ライダー対ショッカー
ライダー1号2号と再生怪人大集合。昭和ライダーと菊池俊輔サウンドの安定感。
オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー
前半は平成ライダーの調子だが、ライダーが増えてきて昭和ライダー調子になる。歴代ライダーが全部揃うので大所帯。ライダーほどではないが敵も大所帯。多すぎてそれぞれの活躍なんか描いてる暇がなくて、最終決戦はほとんど紙芝居的ダイジェストで終わった。
大勢の中高年エキストラがあげる昭和ライダーへの大歓声も見どころ。
劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
仮面ライダー同士のポケモンバトルみたいなことやってた。
話の途中から観せられたような内容で、展開がよく飲み込めなかった。
地獄大使と死神博士がダジャレで変身するのは許せません。ふざけるな。こっちは真剣に観てんだよ!
仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーエターナル
坂本浩一監督だからアクションの質が高いのは織り込み済みだったが、全75分の半分以上はアクションだったのではと思うくらいボコスカやっている。それで単調にならないのだからすごい。
話はベルトコンベアーが如くすいすい進んで停滞しない。
カメラが始終ぐらぐらしているのは気になった。
仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ
TVシリーズは全然観てない。話はふわふわしているが、アクションの比率が高く、それも複数で入り乱れて短くポンポンと対決が切り替わるので流れが停滞しない。子供たちに飽きさせない手法の正解の一つだと思う。似た手法だと思い出したのは『テラフォーマーズ』で、あれは昆虫人間が次々と登場して対決がポンポンと切り替わって、とにかく話が停滞しないように流していた。
昭和の幼児であった私には本作を若い幼児たちがこれでどのくらい喜んでいるのか見当がつかない。唐突に顔を出して帰っていく新ライダーとかさ。
劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー
主人公の息子を名乗る人物が未来からやって来た。ところが私はTVシリーズを観ておらず、謎の息子どころか全ての登場人物が謎で、柳沢慎吾と鶴太郎以外は全然知らない人たちの内輪話。
烈車戦隊トッキュウジャー THE MOVIE ギャラクシーラインSOS
かつてまったく番組の色に染まらずモモレンジャーに絡んでいたラビット関根が、番組に収まった常識人になってレギュラーに出てるのを初めて知る。
海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船
元々が歴代戦隊総ざらいのお祭りシリーズであったこと、平成以来のライダーと違って昭和から基本方針に大きな変更がないことで観やすい。悪役もお馴染みのベテラン声優で安定感あり。
うわあ、野球仮面が永井一郎だあ!
映画感想
太陽にかける橋 ペーパータイガー
三船敏郎出演の東南アジアが舞台のイギリス映画。意外と対象年齢低めな内容だった。ペーパータイガーとは何ぞやと思っていたが、最後に題名が出たとき張子の虎だと気づいた。中国産の紙製虎人形が英語圏でペーパータイガーと呼ばれ、張子の虎と同じく虚勢の表現になっているそうだ。
心霊ドクターと消された記憶
娘を喪ってから幽霊が見えるようになった精神分析医が、幽霊に導かれ封じていた記憶を紐解く。娘の死で傷心しているとはいえ、ずーっと悲しげな顔をしている主人公の暗い話にまずはうんざり。後半でようやく事件に話が動いてちょっと興味が出たものの、気持ちが十分乗らぬうちに実はあの人がという展開で締めに向かってしまう。ジャンプスケアやるのは論外。
賞金稼ぎ
若山富三郎主演。金次第でどんな困難な仕事でも請け負う。雰囲気は西部劇のバウンティハンターっぽくあるが、実質的には潜入暗殺諜報活動何でもござれの忍者である。寡黙でムスっとした錣市兵衛若山が目的に応じて様々な人物を演じる芝居の広さも魅力。荒唐無稽娯楽時代劇の愉しさは溢れているが、往時の単純簡易ロマンの退屈さは邪魔。
何と潮健児が重要な役回り。
ブラック・ファイル 野心の代償
ひょんなことから製薬会社のアンソニー・ホプキンスに裁判で勝てる証拠を不正入手した主人公弁護士は、アンホプと対立するアル・パチーノに自分を売り込んで裁判に挑もうとする。しかし主人公は剛腕アンホプに強い圧力をかけられてタジタジ。主人公に魅力がないのでアンホプ・アルパチに挟まれても最後のどんでん返しも全然面白くない。これ大御所が浪費を埋めるために中身を選ばず出てるタイプじゃなかろか。
ジャケットにイ・ジョンジェが写っていて「ホフパチと共演してたんだ!」と思って観たけど、イ・ビョンホンが出てくるだけでジョンジェ登場をやたらと引っ張る……と思ったら私の早とちりでジャケットに写ってるのもビョンホンだった。ビョンホンはサブキャラクター止まり。
鳥
目を抉られた死体の出し方がいい。それまで鳥さんいっぱいで大慌てだったのがこれで鳥に殺される切実な恐怖に転回する。ラストシーンの終末感が良い。鳥の攻撃が各地へ広がってゆくのをラジオで聴くのは、『サンゲリア』の結末を思い出す。
名高い作品だが、恐怖を感じるかと言うと人間はリョコウバトを絶滅させているし鳥は霞網でよく捕れそうだし、生態からして継続的な爆発的増殖の恐れも無く、大群としての鳥は結局人間に勝てないだろうからあまり恐怖は感じない。殆どの人はそうじゃないか? だから、ゾンビだの悪霊だのと人間が駆除しきれない襲撃者が多く題材にされるのだ。
HUNT/餌 ハント・エサ
街中へ逃げ出したライオンが人々を襲う。『餌ハント・エサ』って間の抜けた邦題だなあと思ったが、「HUNT/餌」「ハント・エサ」ですね。丁寧に読み仮名を並べなくてもいいと思います。原題:PROOI(獲物)
でも餌ハントという響きには間が抜けたなりの魅力があって、スーパーに食料を買いに行く時にでも使いたい。
軽い内容のB級エンタメ動物パニックだが、予算は十分にあり舞台は広い。興味がないタイプの映画だが決着のつけ方は良かった。いや、どうせならもっと大規模にしてほしかったなあ。
スペース・カウボーイ
爺版『アルマゲドン』みたいなやつ。(『アルマゲドン』は観てない)
00年代にしては妙にセットや画質がチャチ(80年代の大作SFみたい)、2時間10分はちょっと長い、若い女が爺にくっ付くいつものイーストウッドロマンス。締めがフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンなのは正道か安直か判断に迷っている。
「真の革命であれば、勝利か死しかない」
2024自民党総裁選は、候補者が9人と第一回総裁選の11人に次ぐ顔ぶれの多さであった。(60年代にも2度、9人が出馬している。)
少し後に開かれた野党第一党の立憲民主党が、候補者4人、それも候補者として新規性のある顔は吉田晴美だけという寂しい代表選であったこととは実に対照的。立憲は何しろ推薦人確保のハードルが不相応に高すぎ、国会議員が200人にも満たない党でありながら、300人ほど居る自民と同じく、20人もの推薦人確保を必要としていた。これでは自分で自分の首を絞めているようなものだが、今回の寂しい代表選を機に漸く規則が改正され、次回から国会議員数の10%、もしくは20人のいずれか少ない人数へと緩和されている。
さて、2024総裁選で目立った一人は小林鷹之である。若手のホープと期待を集めているし、実際に優秀なのだろうが、私は危うさも感じている。
なーんか変なところと接触してるんだもの。これが差し引きを考慮した上での支持の裾野を広げる計算なのか、何の警戒心もないだけなのか……。
渡邉哲也との対談本を出したことには失笑した。渡邉氏はチャンネル桜や文化人放送局で活躍中の経済評論家ですわよ。桜や文化人の動画に出てるようなもんで、これで自民の次世代を担うホープなんだから、ははは。この辺と付き合いがある自民議員は他にも何人かいるが、私が知る限り、がっちりと組んで他の追随を許さないのは長尾敬さん(現在は公認候補)だ。小林氏は長尾氏の後塵を拝しているのだなァ。
で、渡邉小林対談本の発売前、序文がたまたま目に入ったのだが、なかなか蛮勇の気風があった。発売は2025/03/29。
2025年1月20日、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任した。第1期政権時の公約達成率は約8割とされているが、第2期政権時はそれを上回る加速度で次々と大統領令にサインがされている。脱SDGs、脱DEIなどまさに「革命」という印象だ。
このトランプ革命の中で注目されているのが実業家、イーロン・マスク氏率いる「DOGE軍団」である。AIとデータベースを組み合わせ不正、無駄を次々と暴き出しているのはワシントン政界とは無縁の、若き天才エンジニア。これまでとはまったく次元違う行政、政治改革が断行されている。
こうしたことが眩しく見えるほど、我が国の政治のなんと貧弱なことか。
日本国家経営論―トランプ時代の日本経済と政治
https://https://www.tokuma.jp/book/b660404.html
私は3月初旬にこの序文を読んだが、その当時で既にマスク氏の立場は揺らいでいた。序文を書いたのは2月中のはず。せいぜい着任1ヶ月のことを経過も見ずに眩しく見てられたもんだ。こんな見切り発車が出来たのも「革命」がどうにか華々しかった頃で、花の命は短くて苦しきことのみ多かりきということだろうか、発売前にはもう、萎れだしていた。
マスク氏とルビオ国務長官、閣僚会議で衝突 米政府機関の人員削減巡り=NYタイムズ
ロイター 2025年3月8日
https://jp.reuters.com/world/us/PH64CTRQ4JIY3LSER6EDCXIVYY-2025-03-08/
全米でテスラ狙いの破壊行為や抗議運動、マスク氏批判の矛先に
CNN 2025.03.11
https://www.cnn.co.jp/business/35230316.html
私はマスク氏の不評を見る度に、この序文を思った。
マスク氏、政府職を近く退任 混乱重ね政治的負荷に―米報道
時事通信 2025年04月03日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025040300246&g=int
対談本発売後すぐに出た退任報道。この後、マスク「革命」の躍動が、というよりマスク氏の動向が大きなニュースになることはほぼ無くなった。
そんで最近はこんな感じ。
イーロン・マスク氏、政治献金を「大幅に削減」へ 大統領選ではトランプ陣営に大口献金
CNN 2025.05.21
https://www.cnn.co.jp/business/35233226.html
マスク氏、トランプ氏の法案に「失望」 異例の対立
マスク氏は、「率直に言って、この巨額の歳出法案は財政赤字を減らすどころか、むしろ増加させ、DOGEチームの活動を阻害する。私は失望している」と述べた。
AFP 2025年5月29日
https://www.afpbb.com/articles/-/3580309
ついに退任を正式発表。これが出たらブログにあの序文のことを書こうと思っていたので、今日はこれを書いたのでした。
マスク氏、トランプ政権役職を退任 DOGEで職員大量削減
ロイター 2025年5月29日
https://jp.reuters.com/world/us/OQDYKZSWZ5LH7NT7JU7V325JLI-2025-05-29/
追記 2025年6月4日
マスク氏、トランプ氏主導の法案を酷評 「むかつくほど嫌い」
米富豪のイーロン・マスク氏は3日、トランプ大統領が成立を目指す法案を酷評した。トランプ氏は連邦議会上院の共和党議員に対し法案を支持するよう圧力を掛けているが、マスク氏はその内容を「むかつくほど嫌い」と切って捨てた。
CNN 2025.06.04
https://www.cnn.co.jp/usa/35233780.html
トランプ大統領肝いりの「大きく美しい1つの法案」は政権1期目に実施した個人の所得減税の恒久化や飲食店の従業員が受けとるチップや残業代への課税の免除などが盛り込まれていて、先月22日に議会下院を通過しています。
NHK 2025年6月4日 6時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250604/k10014825161000.html
以下、マスク氏のツイート4件。
Im sorry, but I just can’t stand it anymore.
This massive, outrageous, pork-filled Congressional spending bill is a disgusting abomination.
Shame on those who voted for it: you know you did wrong. You know it.
申し訳ないですが、もう我慢できないんです。
この巨大で法外な、利益誘導に満ちた議会支出法案は、うんざりするほど忌まわしいものだ。
これに投票した人たちは恥を知れ。自分が間違っていたことは分かっているはずだ。分かっているはずだ。
午前2:31 · 2025年6月4日
https://x.com/elonmusk/status/1929954109689606359
It will massively increase the already gigantic budget deficit to $2.5 trillion (!!!) and burden America citizens with crushingly unsustainable debt
これにより、すでに巨額となっている財政赤字が2.5兆ドル(!!!)にまで膨れ上がり、アメリカ国民は耐え難いほどの負債を背負うことになる。
午前2:35 · 2025年6月4日
https://x.com/elonmusk/status/1929955052527202503
Congress is making America bankrupt
議会はアメリカを破産させています
午前2:38 · 2025年6月4日
https://x.com/elonmusk/status/1929955959134400714
In November next year, we fire all politicians who betrayed the American people
来年11月、アメリカ国民を裏切ったすべての政治家を解雇する
午前4:32 · 2025年6月4日
https://x.com/elonmusk/status/1929984535456035202
対談本出版後のマスク氏動向について、渡邉氏は何と評しているのか気になり、氏のアカウントで「マスク」と検索すると、最後の書き込みは3月8日であった。これには本当に驚いた。2月には10回書いていた。
3月8日はちょうどマスク氏の勢いが陰る報道ばかりになる頃で、そういう時こそ輝かしい活躍を紹介すればよかったのに、眩しくて見てられなかったのか。せめて退任について労を労うくらいはあるかと思ったが。
経済評論家 渡邉哲也@daitojimari
NYTがマスク氏とルビオ国務長官が衝突 政府職員削減巡り批判と偽ニュースを流す、共同通信がそれを日本語で発信、トランプがNYTの記者を詰問、『貴方その場にいたでしょう』とまた嘘がばれた。。。。裏もとらずに報じる共同ひどすぎです。 飛ばしばかりで使い物になりません。
午後5:10 · 2025年3月8日
https://x.com/daitojimari/status/1898285231997960407
経済評論家 渡邉哲也@daitojimari
米国レガシーメディア 必死にトランプやマスク叩きのフェイクニュース流す、しかし、ホワイトハウス記者クラブがニューメディアに開放されたため、本人達に証拠付きで否定され、それが世界に拡散される。情報の民主化ですね。加担している共同はいらない子、
午後5:15 · 2025年3月8日
https://x.com/daitojimari/status/1898286471209271598
3月は他に、マスクが提案したスターリンク利用停止で露宇戦争は簡単に終わらせられるという1件のみ。
https://x.com/daitojimari/status/1896733167287230554
イーロンだと最後が2023年。「Elon」「Musk」での投稿は無かった。
経済評論家 渡邉哲也@daitojimari
公私混同なんだよな、ネットリテラシー以前の問題🔳「Twitterは使いにくくなった」「イーロンにも電話つながらない」 河野デジタル大臣、Metaの「Threads」を使い始める(ITmedia Mobile)#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/a6b3a
午後3:24 · 2023年7月10日
https://x.com/daitojimari/status/1678288970743152640
で、この渡邉氏と対談本を出したのが自民の若きホープ小林鷹之氏である。危ぶむこと許されたし。
経済評論家 渡邉哲也@daitojimari
大増刷決定!3月29日発売
日本国家経営論 小林鷹之議員との対談本
午前6:08 · 2025年4月2日
https://x.com/daitojimari/status/1907178322133733797
追記 6月12日
激化したマスクとトランプの対立だったが、マスク側が折れて和解。渡邉氏はこの和解にリツイートのみで反応。
「これまでとはまったく次元違う行政、政治改革が断行されている。こうしたことが眩しく見えるほど、我が国の政治のなんと貧弱なことか。」と言うに相応しい、マスクとスコット・ベッセント財務長官との取っ組み合いまで報じられたのに、反応が薄い。
私はマスクトランプ対立で周囲が得することはないので仲裁に入っているはずとは思ってたが、小谷哲男氏の「和解は近い」との見通しには半信半疑だった。実際にはその通りとなった。
Tetsuo Kotani/小谷哲男@tetsuo_kotani
マスクがトランプにかみついたのは、ホワイトハウスのゴー人事局長がマスクの推薦したNASA局長候補を引きずり下ろすために仕掛けた工作にトランプがひっかかり、人事を撤回したから。両者が決別して困るトランプ家、テック系、MAGA系が仲介に乗り出しており、トランプとマスクの和解は近いとみられる。
午後4:32 · 2025年6月7日
https://x.com/tetsuo_kotani/status/1931253020328628380
映画感想
最初の一分間でこっくりさんについての説明文が画面いっぱいに流れてゆくセンスの無さと読みづらさ。
女子生徒の若者言葉が稀に見る不快さで、そういうものと感じさせるのは上手いということでもあるのだが作品としては不快。
ザ・グレイ
飛行機が狼の棲む雪山に墜落し、ハンターのリーアム・ニーソン大活躍……かと思いきや、雪山サバイバルと人生哲学みたいな要素が大きくて、思ったより狼が出ないし、ご飯を食べに来ただけの狼を悪者のように扱う雰囲気に(観客として)入り込めないし……。
オーメン2
悪魔の子だからって人権を顧みることなく殺されようとしているダミアンが可哀想。ははあ、ダミアンの性格が悪いのは、忠臣蔵で吉良が性悪に描かれているのと同じだな。
だけどダミアン自身が自分の存在に戸惑ってるくらいだし、まずは悪魔祓いで邪心を封じるとか頑張ってみてくれませんかね。出自だけで殺すって、その信仰心がない者にとってはまともじゃないです。
オーメン3
大人になっても相変わらず命を狙われているダミアン。私はキリスト教徒ではないので、悪魔殺すべし連中と危機感の共有ができず彼らの独善性が気に障る。そもそも異教徒の私はどうせ地獄行きなので、どちらかといえばあの神父共に殺される側だ。劇中でダミアンは頻りにアンチクライストと呼ばれるが、イエスを信仰しない意味では私もアンチクライストだし。
まずは悪魔祓いで頑張ってみろって。ダミアンも一人の人間なんだから、いきなり殺すなって。子供の頃からこんな扱われ方したからこういう大人になったんだと思うぞ。
EMMA/エマ 人工警察官
有能警察官だが杓子定規なエマ、その正体は邦題通り。
テレビドラマ的ゆるさ。
クロコダイルダンディー
昔観て人気ほどの面白さがわからなかったが、改めて観てゆるい内容に驚いた。中身を忘れていたので、野生的なワニハンターが大活躍するコメディだと思っていたが、事件らしい事件も起きずのんびりほんわかしてるだけで終わる。オーストラリアの野生的な生活とニューヨークの
ギャップを楽しむにしても、あまり盛り上げようとする感じでもない。内容が面白いかどうかじゃなくて、ダンディーに惚れるかどうかの映画。いい男ではある。
クロコダイルダンディー2
妻が麻薬組織に誘拐され、救出にいく。わかりやすい事件だが、
数々の主人公とは違い、ダンディーはフラッと助けにいく。それだけにちょっと盛り上がらないのだが、この大きく構えて長閑な感じさえする主人公像は別の形で映画にしてもらいたい。
映画感想
チェ 28歳の革命
ソダーバーグ監督でベニチオ主演。ゲバラと共に闘いたいと集まってくる人々が良くも悪くも純朴で、ゲバラも困ったりする。日本の革命闘争物語とは大きく違う。日本の革命闘争の厳粛さって、浅間山荘にしてもスパイ査問事件にしても内ゲバにしても旧日本軍的だなあと思う。成功していないからこそそういう暗い部分ばかりが目立つのだろうか。ゲバラも規律違反を処刑したりしているんだが。
市民から純朴に慕われる革命家。日本の革命家たちもこんな姿を夢想するのだろうかと思うとちょっと切なくなった。
伝記映画にこんなこというものではないかもしれないが、わかりやすいドラマチックで話が進むわけじゃない2時間は退屈一歩手前。感情を振り絞るドラマや派手な銃撃戦ではなく、地道な日々の革命戦士を描くのは意義あることだが。
『マルコムX』みたいにゲバラの生涯を大掴みする勉強になればという下心があったので、ちょっと期待はずれ。
チェ 39歳別れの手紙
ボリビアでの革命に乗り出したが、隊員たちが勝手に食料食べちゃったり気軽に配置転換を望んだり、革命軍は緩やかに瓦解してゆく。キューバ革命の成功が、ゲバラへの楽観的な期待と気の緩みとして裏目に出た部分もあろう。ゲバラには悪いが、この緩慢にして大きな滅びを味わうための風景映画といっても過言ではない。
ジャングルをのたのたと行軍し、たまに散発的な戦闘が生じ、人員と物資は不足し、隊員の士気は低く、政府軍は徐々に追い詰め、頼みの綱の現地人は政府軍に抱き込まれる。結末に大激戦などない。
この緩やかに押し流す大河の情感を出すために、前作と合わせて4時間30分があったと、最後まで観た今なら言ってもいい。
トリハダ ‐劇場版‐
おばけが出てこないし、ギャー!とかバーン!ってタイプでもないホラーオムニバス。すごく良いわけではないが、定期的にこういうのを観たい程度にちょうど良い。
トリハダ ‐劇場版2‐
続編あるんだ、やったあ。喜んで観たものの、オムニバスで5つくらいある中、良いのが1つしかなかった。雰囲気作りの助走が長過ぎる。
無造作風に抑制した演出と長ったらしい各話題名は、特にこんな2時間に纏めて繰り返される場では、合わないと思う。
鬼談百景
体験談型怖い話オムニバス。もしかしたら現実の隙間や暗闇のどこかにこんなことがあるかもしれないと思わせる「体験談」と、まったく現実を無視したお話の「体験談」を一緒に詰め合わせたら前者が死ぬので良くない。私は、もしかしたら現実の隙間や暗闇のどこかにこんなことがあるかもしれないと思いたいから観ているので、まったく現実を無視したお話は別物として扱っていただきたいのだ。
ヘヴンズ ストーリー
山崎ハコ出演でも話題になった、休憩抜いても4時間38分ある大作。
犯人への復讐を誓った被害者遺族の話が全体を通す筋だが、それに交差する人々の人生までたっぷり描き、青春映画の雰囲気もある。
この長時間をかけた故の情感はあるものの、さすがに4時間半は長すぎる。要らなかったと感じる部分もある。話に関心がついていけたのは3時間くらいまでかな。
最後まで観るのがやっとで、もう作品が何を訴えたのか曖昧にしかわかんない。怨み復讐することの虚しさみたいなことを言ってた気がするが、全然心に響いた気はしない。怒りと悲しみと憎しみで始まった話が、出産に重ねられた生きることの美しさのイメージに着地する結末の、主要人物みんなに何らかの形で家族が結びついているタイプの、私に関係ない感じの話。
世の中はこんな物語が成立するような人ばかりかねえ、って印象。私この天国にいないな。まあ、天国ってのは誰でもいけるところじゃありませんから。
「生まれなかった方が、その者のためによかった」と言われる人もいる。
やくざ坊主
ごろつきの勝新が廃墟同様の寺に潜り込んで坊主を装って好き勝手する。ここでの好き勝手は作中で「小気味良い」悪事と位置づけられているが、主人公が楽しんでるだけで別に面白くない。
最後の成田三樹夫との殺陣もまったく良くない。
映画感想
あっ、これスコセッシ監督なんだ。実在したハワード・ヒューズをディカプリオで。人生と莫大な資産を映画と飛行機につぎ込んだ男。富豪と狂気はディカプリオの嵌る役だが、あまりに順当な配役でちょっと面白みに欠けた。話は面白かったが。
殺人犯ジョン・リスト
ジョンが大人しく潜伏生活をしていること、主人公が人間観察と称してジョンの家を覗いていたことが正体に気付くきっかけであること、自由が効かない主人公が友人に不法侵入させてまでジョンを探らせていること、全部が盛り上がらず応援する気にもならない。
ファースト・キル
虐められている息子に自信をつけさせようと鹿狩りに連れ出した父親。だが予想外の事態に巻き込まれ、息子は銀行強盗に誘拐されてしまう。
息子は強盗から大事なことを学んでゆくという筋はいいのだが、頼りない父親の情けない言動の印象が強く残る。
ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー
興味出ず。サリンジャーの伝記であるのが唯一の見所で、伝記である縛りのせいか面白いことが少ない。面白かったのは、駆け出しの頃に小説が「戦時中なのに軽薄」との理由で掲載が取り止めになったこと(米でも日本みたいなことやってたんだな)、「ライ麦畑でつかまえて」が最初に見せた出版社では不評だったことくらい。
また余計な邦題で、全然ひとりぼっちじゃねーぞ。
ビッグ・リボウスキ
妙に人気あったが全然興味出ず。1秒も面白くない。こいつら早く死なねえかなあ~と思いながら観ていた。コーエン兄弟。
サーキットの狼
原作は読んでいません。昭和とスーパーカーブームの濃密な出会い。公道を速度超過して警官をマッポ呼ばわりするのは、現在では不良かヤクザ漫画の世界だろう。
主人公のライバル的な役柄の警官(マッポ)が矢吹二朗で良い役貰えたなと思ってたら最後死んじゃった。
子門真人の味のある主題歌。
遺産相続
愛人と会社経営していた社長が急死して、愛人と社長の本妻が激しい対抗意識で遺産争いをする。
主要人物野々村真の嘘っぽい京言葉と軽い人物像に閉口するが、ああいうのがバブル期(公開90年)では一定の受けがあったのだろう。野々村に限らず、昭和が色濃い平成初期の男女の情念だとか時代に取り残された喜劇センスとか全体的に閉口する。遺産相続の駆け引きだけに的を絞って乾いた作風にしたら面白い題材ではある。
野々村が嫌なところからスタートして成長していく物語かと思って我慢して観ていたがずっとこの調子だった。
映画感想
心霊盗撮ビデオ 呪われた鑑賞会
呪われた鑑賞会の参加者は、この作品を観た私と、これから観る貴方です。『パラノーマル・アクティビティ』方式のつもりで愚にもつかない退屈な場面に尺を稼がせたのであろう愚作。
アベンジャーズ・オブ・ジャスティス ~フォース・ウォーズ~
原題も『Avengers of Justice: Farce Wars』
ヒーロー映画とスターウォーズのパロディ米映画。センスが面白くないし、テンポが遅い。字幕版で観たが3つくらい字幕がない台詞がある。
しかし撮影場所は多いし出演者も多い。道具も特殊効果も沢山使う。この程度の内容をこの規模で作れる国だから強い。
バッド・ネゴシエーター
主人公警官が立て籠もる銀行強盗と交渉してみたら、犯人は疎遠にしていた弟だった。終盤で物語は大きな展開を迎えるが、それまでは兄弟がせせこましく揉めているようにしか見えず、せっかくの転調に気分が追い付かず。
これも3箇所ぐらい字幕が抜けている字幕があった。どういうことだ。
ラスト・ディセント ナティ・パティ洞窟事故
里帰りした26歳医学生のジョンは、弟からナティ・パティ洞窟への探検に誘われた。そこは探検初心者用の洞窟で人気があり、ジョンは過去に何度も潜ったことがある。侵入許可証も既に弟が用意していた。
洞窟内は細く枝分かれした穴が幾つもあり、ジョンは上映15分ほどでその1つ、幅が僅かに30cm程しかない穴に凡そ70度の角度で逆さまに挟まってしまう。弟が呼んだ救助隊が直に駆けつけるが、状況はあまりに厳しかった。
本作はアメリカで実際に起きた事故を元に創作された映画であり、実際の報道映像も挿入される。自然の恐ろしさを伝える意義があり、絶望的状況で救助隊はどんな振る舞いをするのかを描いた仕事映画でもある。
私は洞窟の地下深くで怪物に襲われるホラー『ディセント』で、怪物はどうでもよかったが、狭い穴に挟まってしまった場面だけが怖かった。本作にも戦慄しないわけにはいかない。医学生のジョンには救助隊の優しい嘘がわかる。恐怖から錯乱する。事態は何も好転しない。
回想でジョンの人生が語られてゆく。多くの事故報道は一時的にこちらの心を重くするが、やがてその重みは日常の中に霧散してゆく。しかしその事故1件1件にはこうして1人1人の人生が詰まっている。その当たり前が染みてゆく。
だが奥様との馴れ初めが語られるあたりから「そういう話は別にいいっす」と私の人間のクズ濃度が無視できないほどに上昇し、何のシンパシーも抱かせないジョンの幸せ人生は、私の〈有り得べき人間性〉の欠落を浮き彫りにするのだった。
ジョンの半生ドラマは面白みがないので、それがメインになる後半はどんどん退屈になってしまう。この辺は早送りしていいよ。
ジョンがモルモン教徒と明かしながら信仰の話が薄いのも不満だ。モルモン教が煙たがられているとの台詞までは有る。しかし私はこの状況で語られる信仰が聴きたい。事実としてジョンは深く語っていないだろう。煙たがれる話題だし、会話すら苦しい状況だから。しかし、映画としてその後長々と描かれるジョンの心象風景において宗教的な風景がろくに描かれないのは何なのか。制作陣がジョンの信仰を忌避したのではないか。
映画全体としては、ジョンの人生や幸福に幸せな人たちが涙を流せるようにと、気色悪い場面に尺を割いた感動映画。そこを早送りすれば見どころはある。私は早送りしなかったので気分が悪くなった。感動を抽出するために余計な信仰はポイッ。
どう死んだって惜しまれようのない私はこんな映画にならないな、ガハハ!
ジョンの遺体を回収することが出来ないまま、洞窟は閉鎖された。
嵐を呼ぶ男
1957年。あの時代のトレンディードラマだから苦笑いが出るような恥ずかしい格好良さが随所に散らばる。
「都会のメカニズムと人間性の相克が」云々といった、海に蹴り落としてやりたいような台詞で飾り付けられた時代の意識が耐え難い。
おんな犯科帳 江戸拷問刑罰抄
おんな犯科帳 II 江戸拷問刑罰抄
『美女奉行 おんな牢秘抄』のハードバージョン。江戸時代の牢屋・遊郭で行われた拷問がエログロの見せ場となっているが、硬派で哀しい物語に見どころがあった。なお、男は男でグロテスクな目に合う。
石原良純は職分を超えられぬ役人で傍観者であり、哀しい女たちを救おうとする善人であり、手を汚す決断が出来る主人公である。だが英雄ではない。葛藤し諦観するが、それでも手を差し伸べずにはいられぬ大人である。
エログロを控えてもっとシリーズ化してほしかった。
シャーク・キラー
冒頭が『ジョーズ』そのままという度胸で、えらいものが始まったと思ったが、その後は全然違う話になる。陽気な筋肉男が悪い連中をやっつけにいくヒーローアクション
原題は邦題そのまま『Shark Killer』
プロテスタントにカトリック葬儀参加資格ありとのこと
嘉悦大学教授で数量政策学者の高橋洋一氏が、ローマ教皇フランシスコの葬儀に石破首相が参列しないことについて、ラジオで批判したという記事が目に入った。
高橋氏はせっかくの機会をみすみす逃したことが理解できない様子。「本人が(葬儀に)行かないと決めたんでしょうか」「石破さん、プロテスタントなんだから(行かなきゃだめでしょ)」と指摘していた。
日刊スポーツ:「行かなきゃ」とローマ教皇の葬儀に不参加だった石破首相に疑問 高橋洋一氏がラジオで指摘
https://news.yahoo.co.jp/articles/103a27cb477dcc6bce3a31c040b72e8d72e73fb7
プロテスタントなんだから行かなきゃダメというのがちょっと面白くて、番組を確認すると、正確な発言は少し違う。
MBSラジオ「上泉雄一のええなぁ!」 2025/04/28
https://youtu.be/TmuJF94-T_s?t=1076
MBSアナウンサー上泉雄一「(教皇フランシスコの葬儀に)世界の錚々たる指導者が出席した中で、日本は岩屋さんだったんですけども」
高橋洋一「まあ、あれですよね、あの、石破さんは、あのプロテスタントですからね、行く資格があるわけですよね」
上「はいはい 」
高「行かなきゃ、信仰心を問われちゃいますよ、フフフ」
上「これあの、行かないという選択肢は、どう何があった」
高「いや、本人が行かないって言ったとしか思えないですよ正直。 あの、その首相動静ってのでね日程わかりますけどね」
上「はい、はい」
高「日本にいてメーデーとかあとなんかあの、大学なんか行ったとかそんなんだったら簡単に行けますよね」
上「ねえ、うん」
日スポ版では発言を端折ってプロテスタントに参列義務があるかのように直結させているが、実際には、プロテスタントには参列資格がある、行かなければ信仰心を問われる、であり、大筋では日スポが報じている通り不参列を批判してはいるが、実際との文脈の差異を私は無視できない。
なお、後の書き起こしていない部分で高橋氏は各国との外交上で首相参列は重要であったと論じているため、日スポもそこを含めて〈だめ〉を補っている。
ネットではスポーツ紙の記事に、高橋氏はプロテスタントとカトリックが違うことをわかってないんじゃないか等と述べている人を見かけたが、私は「高橋さんはエキュメニカル運動の支持者なのだろうなァ」「エキュメニズムこそイエス様の御意志だと解釈しておられるのだろうなァ」と受け取っておいた。これで行かねばプロテスタントが信仰心を問われてしまうのだから、かなり強いエキュメニズム支持である。フフフ。
プロテスタントだから資格があるというのは、実のところ私には意味がよくわからない。取り敢えずモディ首相が行こうとしたら資格がなくて断られるのだろう。
エキュメニカル運動とは、私の解釈では「宗派が違えどキリスト者同士仲良くやろう運動」であり、波風を立たせないための近所付き合いである。そして、聖書の神はそんなに融和的ではないと思っている。
教皇フランシスコの葬儀は26日午後5時(バチカン時間同日午前10時)過ぎから。石破首相は27日から30日までベトナムとフィリピンを訪問した。岩屋外務大臣は25日から翌月4日まで、バチカン、アメリカ、セネガル、サウジアラビア、フランスを訪問する。
外務省:石破総理大臣のベトナム及びフィリピン訪問
https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea1/pageit_000001_01834.html
外務省:岩屋外務大臣のバチカン市国、米国(NY)、セネガル、サウジアラビア及びフランス訪問
https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/pageit_000001_01847.html
石破首相は1月にはマレーシアとインドネシアを訪問しており、東南アジアで影響力を増す中国への対抗とも見られている。誰も相手にしないので本人も今は言わなくなったが、石破氏は20年前から首相就任直後までは、中国抑止を視野に入れたアジア版NATO構想を掲げていたので、東南アジアへの関心は以前から高い。
習近平主席は4月中旬にベトナム、マレーシア、カンボジアを国賓訪問している。
20222年に外務省が発表した資料によると、ASEAN諸国世論が今後重要なパートナーと考える国の1位は中国48%、2位日本43%。(複数回答可)
2024年では1位日本43%、2位中国42%となっている。
外務省:海外における対日世論調査
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/pr/yoron.html
読売新聞:アジア版NATOの議論開始、石破首相「肝いり」施策には自民党内から否定的な声…「落としどころ」探る
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241128-OYT1T50205/
そういえば、この前まで岩屋外務大臣はアメリカへ行くと逮捕されるのではないかと心配されていたもんだが、また行くのに今や誰も心配してない。日本人は薄情である。ASEAN諸国からの信用も薄らぐだろう。



【追記】
宮嶋茂樹も産経新聞で同じようなことを言っていた。一部抜粋する。
・ところで、カトリックやないけど、キリスト教徒であられる、われらが石破茂首相は何で参列せなんだの?
・50カ国以上の首脳が集う、かっこうの外交の舞台やで。
・自国の領土を奪われ、脅かされとる窮状を訴える絶好の機会やったのに。
・神に祈るだけでは決して平和は訪れぬ。
産経新聞:直球&曲球 宮嶋茂樹:石破首相は教皇の葬儀に行かんの
https://www.sankei.com/article/20250501-PJRNBYCVDZPWXFTYJ46O6PKC4Q/
キリストはイエスで、教皇はキリストではなく、カトリックから離れたプロテスタントのキリスト教徒が、教皇の葬式に参列するのを当然であるかのように考える根拠は何だろう。これもやはりエキュメニカルに違いないッ!
真面目に話をすると、葬儀への参列には外交実務としての機能があるだろう。しかし、葬儀に政治の観点しか持ち込まず、弔いそのものへの関心が全く欠如した悪口で参列を促す言論は、倫理が欠如している。礼節はなく侮りがある。
教皇を世界的VIPとして存在たらしめる基礎は、信仰である。そこに敬意なき参列は、それも信仰者である石破にこれを促す言論に、倫理はない。葬儀で国益の算盤を弾くことしか頭にない言論が罷り通る国があるのであれば、彼の国にどんな感情が向けられようか。彼の国は何をするようになるだろうか。
プーチンと金正恩にそれなりの倫理が備わっていれば、ウクライナに侵略や戦争犯罪を仕掛けることはなかった。
人はパンのみにて生くるにあらず、とキリスト教徒ならば知っている。
【再追記】
産経の与太記事は、天皇の大喪の礼について、海外の新聞が「かっこうの外交の舞台」だの「脅かされとる窮状を訴える絶好の機会」だのと抜かし、自国の政治を貶す道具に使っているようなものである。実際に教皇をそう扱ったのだから、天皇の崩御もそう扱うべしと示しているのと同じだ。それとも、天皇は教皇と格が違うから非礼は赦されぬとでも記事にするつもりか。
映画感想
ファイティング・ファミリー
家族でプロレス興行をしている一家から、妹がWWEの候補生に合格する。ここまでは良かったが、試験に落ちた兄の鬱屈、娘への無邪気な金銭的期待を寄せてしまう両親(特に子供たちの気持ちがわかってない父)に、練習生活の苦しみが積みかさなるパートがかなり長くてつらかった。『ミッドサマー』とは違ったフローレンス・ピューを観るつもりだったが、ペイジも内面の弱さと未完成さが共通してかなり似た人物であった。
野獣死すべし
鹿賀丈史もよく食らいついているが、松田優作の死神じみた狂人が素晴らしい。早逝が惜しい。
蘇える金狼
久しぶりに観たら、命令と密約で社員に人殺しを依頼する大企業という物語内の説得力に空疎な印象を受けた。私は昭和ドラマにおける大企業剛力の雰囲気をまだ知っているからよいが、若い世代には伝わりにくいかもしれない。
『野獣死すべき』といい、やっぱり松田優作の正気を失った顔ってあれなんだよな。
社長別荘での成田三樹夫との掛け合いが好き。
インベージョン
侵略者の不気味さが面白い。一直線に襲ってくるのではなく、次々に個人を乗っ取り社会を侵食してゆく。だが、編集手法が合っておらず、古典SF(原作「盗まれた街」1955)の味わいの邪魔になっているように感じて残念。
カンニング・モンキー/天中拳
ファミリー向けに適した映画だが、コミカルな場面でも肉体の存在感と動きの締まりがある。古典的な型にはめた芝居なのが、それだけに見栄えがするということか。動きのある場面はいいが、話はいまいち。
座頭市に扮するジャッキーが嬉しい。
ルンさん(ディーン・セキ)も出ている。
ジェイコブス・ラダー
とても良い雰囲気のミステリーだった。幾つか似た雰囲気の作品を観ている気がするが、何だろうか。『ミッション8ミニッツ』だけは思い出したが……。
https://blog.seesaa.jp/cms/article/edit/input?id=407422488
ファニーゲーム USA
悪趣味な娯楽か、見栄えしない被害者像を描きたかったのか。しかし、差し込まれるメタ視点と最後に交わされる会話で、「虚構は実在する」がテーマであったと思う。
南直哉は「死者は実在する」と言う。死後の世界や魂の実存を指しているのではない。死者はいないのにも関わらず、生者は死者を想い、思考や行動をも左右される。これでは生者と同じく存在しているのと同じではないか、というのが大まかな意味である。南は恐山に勤めて、死者を想う多くの人々と対峙するうちにこの考えに至った。
さて、この死者を虚構と入れ替えても通じるものがあるのではないか。あるのだ。
映画感想
フランスの貧困層の通う高校で、悪ガキの集まりのようなクラスを担当する教師が、アウシュビッツをテーマにクラスを歴史学習コンクールに参加させる。反発する生徒たちだが……。
うーん、実話を基にしているせいかあまり波乱がなくて展開が素直。生徒も『悪ガキ』であってそんなにガラが悪いわけじゃない。
内容の殆どはどこかで観た展開なので、イスラム教に改宗したばかりなのを「この前まで豚食ってたくせに」と罵る文句が新鮮で最も印象に残った。
ランナウェイ/逃亡者
とあるベトナム戦争反対テロ組織が姿を消してから30年、メンバーの1人が逮捕される。関連し浮かび上がった男が逃走し、記者の主人公はその足取りを追う。そこには隠された真相が……。
日本の左翼過激派の印象とも重なって興味を惹かれたが、記者の性格が嫌、隠されていた個人的な事情に魅力なしで肩透かし。
。
悪童日記
時勢を我が身に反映させることのみが生きる道だと思い立った双子の話。なんとも痛ましいと思って観ていたが、薄情な私は終盤まで感傷が持続せず。
怪怪怪怪物!
主人公をいじめている不良集団が怪物を捕まえ、その不死身をいいことに嗜虐を満たす。その怪物には姉がいて、身内を取り戻そうと……。
えぐい加虐描写が長く、異様にも程がある思考と嗜虐性を持つ生徒たちや何かあると思いきや頭がおかしいだけだった教師など、話の筋を観る映画ではない。「怪物」では足りない人間の怪物ぶりや上辺の正義感など、描きたいことはぼんやり見えたつもりだが、好みではない。暗い青春映画。
台湾映画だが、筋道立った展開よりも感情の奔流で押し通すのと暴力性で、韓国映画みたいだった。
ラスト・ シフト/最期の夜勤
警官になっての初仕事は無人の旧警察署。緊張と心細さと怪奇の迫る気配。静かに不気味な雰囲気を描いた良作。
ボーイフレンド・シークレット
多分サスペンス劇場的テレビ映画。あっさりとした流し見用の話。主人公女に近づく優男が実は架空の人物を演じていて云々。主人公にはこの状況を相談できるパートナー男がいるため、優男は脈がないのに付きまとって蚊帳の外から澄まし顔してる可哀想な人に見えてサスペンスの迫力が薄い。
祈りの幕が下りる時
うーん、東野圭吾って私に合わないのかもしれない。あといつもの邦画特有の芝居。
2時間ぴったりに収めたくて話のテンポが駆け足になったんじゃないかな。