宇宙トロール船ヤマト丸


二酸化炭素濃度の上昇で地球の平均温度がぐんぐん伸び盛りだからもう地球ダメかなーと思っていたそのとき、遥か彼方の惑星イカスンダルより「二酸化炭素を吸うウニがいるから獲りに来いよ」とテレックスが届く。
地球でも二酸化炭素を吸った石灰質は海の連中だから如何にも有り得べきとして、廃業した漁師から譲ってもらったトロール船に波動ゼンマイエンジンを設えたヤマト丸は、宇宙へビューンと飛び立った。

[SF考証としては大気の温暖化で空を飛び易くなっているので戦艦などという大袈裟なものは出さんで良いという理屈だが、軍国主義復活の絶対阻止と反戦平和の願いを込めた設定である。]


 大宇宙でのエピソードの数々

ドアに隙間があって船室から空気が漏れているのが発覚したが、ガムテープが見つからず船員たちは慌てる。趣味の蕎麦打ち中だった船長が機転を利せて練った蕎麦粉を隙間に詰めて急場を凌ぎ、ゆっくりとガムテープを探すことが出来た。船長は尊敬された。

窓から見える星の海に流れるような蟹の大群が横切ってゆく。どっかで見た顔だと思ったら平家蟹。これは至極当然で、人類が宇宙へ進出するということは、人類の恨み呪い嘆き無念もまた宇宙へ進出することに他ならない。廻る因果で銀河を渡り平家蟹。船員たちは誰ともなく経文を誦した。
慈悲少し海へ流しぬ。


イカスンダルはウニが大量発生しており陸にも溢れる有様だった。ヤマト丸はトロール網を展開しウニどもを船倉へ詰め込むと、今頃カキ氷や素麺が流行っているであろう地球へと飛び立った。人類滅亡まで残された時間は少ない。
大漁旗をはためかせて地球へ帰還した宇宙トロール船ヤマト丸。すぐさまウニを海へ投入した。しかし待てども待てども二酸化炭素濃度は増加の一途を辿る。
「俺たちの旅は無駄だったんだ」虚ろな目で海中へざぶざぶ入りウニを摘み上げる主人公。片手にはキッチンバサミ。「もう、食ってやる!」絶望が狂気と食欲に駆り立て、ウニの殻を割る。
「こりゃ、栗でねえか!!」
なんとウニと思って獲ってきたのは栗だった。そりゃビックリ。実はイカスンダルは栗の当たり年で落ちた栗が海にまで溢れかえっていたのだ。またイカスンダルまで行く燃料と時間はない。
「ハハハハ! ハハハハ!」
笑うしかなかった。



宇宙の栗なので塩にも強いイカスンダル栗はにょきにょき育ち、地球は栗ご飯栗きんとんモンブラン他各種栗料理の豊かな星となり気温は特に下がらず人類は偶にイガを踏んじゃったりしてやがて滅亡した。その他の動植物も大概ダメだった。
栗の木は残った。

20/1/10

ほとんど肉を食べなくなってから半年以上経つ。
そのせいなのか、単に加齢のせいなのか、頬が少しこけ、体が細くなってしまった。

親と連絡を取らなくなって1年経つ。
理由は有ると言えば有るし、無いと言えば無い。
母から毎日受信通知があるようだが、開きもしないでいる。

私は人間に向いてなかった。
多分私は人間ではなかった。
人間でないとすると色々説明がつく。
人間のつもりでいてはいけなかった。
人間のことをろくに知らないで
人間ごっこをしているのだから、
そりゃあ、こうなる。


私が人間ではないと思い始めてから、
それを尖った歯と結びつけてるようになった。
私の歯が尖っていると歯医者が言う
歯を食いしばったり歯軋りしたりするのが原因でこうなるそうだ。
確かに私はそうすることが多々あった。
しかし、もしかしたら、
この歯は人間でないことの表れではないかと、
舌で歯の先端を触る度に思いがよぎる。
そんなこと本気にしていないのに。
触るたびに何度も。
人間ではないことは否定できずに。

19/11/12

パチパチという音で目が覚めた。何の音か、どこから聞こえてきたのかわからず、寝床で愚図っていたが、部屋の中に白く煙が棚引いてい
るのに気付いて台所へ向かうと、鍋が置かれたIHヒーターにスイッチが入っていた。
スイッチを切る。煙漂う鍋の蓋を開けると、炭化したビーフシチューがあった。ドアと窓を開けて換気。
感知器が作動して大事になる前でよかった。

昨夜、翌日の分としてビーフシチューを作っていた。スイッチを確かに切ったはずだが。
意気消沈して鍋の中を見る。一点だけ、炭になりきっていない人参の朱色が映えていた。ビーフシチューだった頃に比べ、嵩が大分減って
いる。箸で突くと炭の中身はスカスカで、洗い易そうだ。
よく火の通った小さな肉の塊が出てきた。2ヶ月ぶりに食べるはずだった肉だ。

捨てるつもりで炭を突いていたが、自分の不手際で食べ物を無駄にすることへの抵抗や、食べることがままならない人々が思い浮かぶ。
炭は取り出し、雑炊へ混ぜて食べた。何度かに分けたので炭の味は薄くなったが、気分が悪くなり、その日はずっと横になっていなければならな
かった。

横になっていると、台所からピッと音がした。いってみると、さっき切ったばかりのIHヒーターのスイッチが入っている。
故障である。外出中に火事になってたいら一番面倒で、一番良いのは寝ているうちに焼け死ぬことで、炭を食べて気分が悪いのはその中間だ。


思い浮かべた人々のなかで私の心を最も動かしたのは、現実世界の今この瞬間も苦しむ人々ではなく、カムイ伝の非人たち。私は何から何
まで現実から逃げようとしている。

どかーん!



君の家にダイナマイトをしかけたのは、悪気があってのことではない。
ちょっと驚かせようとしただけだったのに・・・・・・。
たぶん、火薬が多すぎたんだ。
こんなことになるなんて、誰にも予想できないさ。
まったく、なんと言ったらいいか・・・・・・ああ・・・・・・お気の毒様。
随分と風通しがよくなってしまったが、そのうち、暖かくなってくれば、
きっと気に入ってもらえると思う。
今はまだ寒いだろうけど。


ああ、まったく!
ささやかなサプライズのはずが、ビッグサプライズになって良いんだか悪いんだか……。ハハハ!

おいおい、いつまでもそんな顔するなよ。
そうだ、カツカレーのおいしい店があるらしいんだ。
どこにあるかはよくわからないんだけど、
大盛りの+150円は僕が出すから、食べに行こうよ。
僕、カツカレーが大好きなんだ。
ほら、行こう!
……僕はお腹が減ったんだよ!

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小学校低学年の一時期、登校前に玄関で歌わされていた。
咽喉が弱かったので、それを改善させようとの処置だったが、たまらなく嫌だった。だが、拒否権はない。
音楽の教科書を開いて仕事の準備などをしている親に向かって歌うのは、恥ずかしく、泣き出さんばかりだった。

歌うのは、私が登校の準備を整えてから、近所の同級生が迎えに来るまでの間。つまり、同級生にも聴かれてしまうのだ。
私はなるべく準備を遅らせ、迎えの頃合を見計らって声を落とし、迎えの足音に耳を澄ませて……、と誤魔化しの方向に注力して歌の時間を過ごし、学校へ行った。学校へ行っても何も楽しくなかった。


こういうことを幾つか、寝る前にふと思い出したせいか、親の前で首筋を包丁で切りつける夢をみた。
切りつけたところで終わってしまった!
もう少しで、死が、死の先がみられたのに。
いや、死もその先もないから終わったのか。

オーガニック居酒屋 自然派





このまえオープン!

山奥にレコーダーを放置して採録した自然音を、
0.6倍速でリピートするBGM。
ここは身も心も自然に包まれる癒しのヒーリングスポット。
大切な誰かとナチュラルなひと時を共有したい貴方にオススメ。
お一人様も大歓迎!





メニュー


チーズたにし

当店創作料理の原点! 畜産加工品と稲作現場に張り付く巻貝の事前察知不可能マリアージュ!


釜揚げカマキリ

生まれたばかりの小さな小さなカマキリたちをすかさず釜揚げ! 


ナナフシ天

みんなが大好きなごぼう天みたい!


蟻ご飯

美味しいお米って甘いよね。そこで、ハニーアントをご飯に混ぜ込んでみました!


ウジムシチャーハン

パラパラしたチャーハンを作るための逆説的真理、それは米を使わないことだった!


カブトムシのサナギフライ

幼虫から成虫へ身体が変化する真っ最中を逃さずフライにしているから、外はサクッ! 中はトロッ!


蠅フライ

おもしろ~い!


ねずみのから揚げ

何を食べているかよくわからん肉だから、とりあえずから揚げ!


蝉の抜け殻の素揚げ

誰もが考えるが誰もレギュラーメニューにしなかった。それを当店では、した!


テントウムシのサラダ

野草に蒸したテントウムシを大量に和えました。結婚式の二次会に是非!
※バッタが飛び出すサプライズがあるかも(笑)


ミノムシの煮付け

ツブ貝感覚でミノからムシを引きずり出して食べてネ!


イモムシの針焼き

串では太すぎて中身が出ちゃう繊細なイモムシを、針を刺すことによって優しく炙り焼き!


ミミズパスタ

ミミズを小麦粉の中で飼育することにより、高純度な実質的ほぼ完全パスタ相当と化したミミズ!


カタツムリのバター炒め

どうみてもバター炒めが似合うので素直にやってみました!


自然の恵み炒め

ハサミムシ、オケラ、アブ、カナブンなど。特にメニューにならなかったり余ったりした食材をその場の気分でセレクト!


ウスバカゲロウのスープ

ウスバカゲロウで表面を覆った冷製スープ。水たまり感がGOOD!


野いちご

かわいい!




ドリンク


大五郎のジュース割り

ポカリ、アップル、オレンジの選べる3種類!


5倍希釈ウスターソース

苦手な人でも飲みやすい口当たり!


 ~NEW!!
ダンゴムシミルクティー

ダンゴムシを片栗粉で包んで、あの大流行の蛙の卵みたいなやつにしました!






  


体を元気にする自然食材を、素朴なママゴト感覚で調理する安心安全のお店です!
保健所に徹底抗戦!




はやく死にたい

生きるのに向いていない
死んでいれば良かった

191006

あれがどういうところか、この一ヶ月ほど考えていたのだが、差し当たりスターバックスみたいなところとでも言おうか。私はそこにワームホールを開通させて原始人の一団を送り込みたい。粗野なる力で棍棒を振るい、言葉以前の猛りを叫ぶ姿は、連中に人間が何だったかを知らしめることだろう。
そのワームホールを掘るのが私なのではないか。
私の容姿がは不可解にもお坊さんみたいと言われてしまうのは、青の洞門よろしくワームホールを掘り抜くためであり私a.k.a.禅海であった。
私とnoteとは、そういうことであった。

19/8/22

ヤクザと警察の抗争を描いた映画の撮影で、私はヤクザの下級構成員になっている。
この映画は過剰な暴力描写と荒唐無稽な話で一部に人気のある80年代の映画のリメイクだが、なぜか私だけしかそれを知らない。



茶色いセダンでパトカーに追われている。一人の警官がセダンにしがみついており、その警官の左手が後部座席にかかっている。その手はホルスターごと銃と一体化している。
私は振り落とそうとドアを何度も開閉させるが、手が離れない。やがて手首が裂け、赤い肉と白い骨が覗いた。


ビルの上層階。部屋の中央に大階段があり、それを囲んで警察を待ち受ける我ら。駆け上がり、我らと対峙する警察。
我らを率いるのは、かつて警察との抗争で頭部だけとなった幹部だ。ふわふわと浮いており、青白い顔で、一度溶解してから固まった肉がたてがみの様に顔を囲んでいる。首には何本もチューブが繋がれている。
昔のクローネンバーグ映画のようなグロテスクがある。

私はオリジナルに負けない映画にしなければならないと焦っていた。
ヤクザと警察の指揮官が台詞の遣り取りをしている最中に、警察の一人を殴り、階段の下に蹴り落としてやった。
まだだ。まだ足りない。
私は懸命に暴れた。暴れているのはこの大所帯の中で私だけである。指揮官同士は相変わらず台詞が続き、他は相手陣営を睨み付けているばかり。警官も殴られるまま蹴られるままで、私は無視されている。

5人くらい階下へ落としたところで不安になる。下にはクッションがないし、受身を取っている様子もない。
もしかしたら死ぬのではないか。死んだら、殺したのは私だ。不安で動きが鈍りそうになるのを奮い立たせる。死なないでくれ。殴って、蹴った。

撮影隊がまったく登場しない。